依然猛威をふるい続ける新型コロナウイルスの感染を最小限に食い止めるため、医療機関だけでなく世の中全体での取り組み・対策が必要とされています。そんな中、感染管理認定看護師のニーズはこれまで以上に高まっています。
感染管理認定看護師の人数は、認定看護師の全21分野中で最も多くの看護師が認定を受けていますが、それでも昨今のニーズには追いついておらず、不足している状態と言えます。この状況を改善するため、日本看護協会はさまざまな対策を行っています。
例えば、以前は難しいとされていた200床未満の医療機関や介護施設に在籍している看護師の資格取得を応援するため、条件を見直したり、場合によっては受講費用を免除するなどの改善を行いました。また、新規で該当の養成講座を開講する教育機関には補助金を出すなど、感染管理認定看護師の資格がとりやすいように環境が整えられつつあります。
資格取得にはさまざまな知識や技術の習得が必要ですが、今まさに求められているそのスキルは看護師として仕事をしていく上で必ず役に立つことでしょう。患者だけでなく仲間や自分を守ることにもつながりますので、今こそ資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
新型コロナウイルスの感染者がまだほとんどいない時期から、感染管理認定看護師はそのスキルを発揮してきました。例えば入院していた患者が亡くなったあとに実は新型コロナウイルスに感染していたことがわかった場合、すぐに同室の患者や関わりがあった職員を調査して濃厚接触者を割り出したり、必要に応じて新規入院や外来患者の受け入れを中止するなどの対策を行い、その結果施設内での院内感染をほぼ起こさずに済んだという例もあります。
感染症についての知識が浅いとどうしても初動が遅れてしまうため、十分な感染症対策を行えない場合があります。しかし感染管理認定看護師は感染症に関する幅広い知識を持っているため、早い段階から感染症対策の最前線に立って他の職員を導いていくことができます。
感染管理認定看護師はコロナ禍でのみ力を発揮するわけではありません。以前から知られている感染症である、インフルエンザなどの対策でもその存在感を示します。
とある医療機関に在籍している感染管理認定看護師は、インフルエンザが大流行した年にワクチンの重要性を職員に訴えた結果、近隣の医療機関では院内感染者が増えていく中でも職員の感染数を抑え込むことができたそうです。知識や経験に基づいたデータ収集や予測によって、職員当人はもとより院内の患者も守ることができたのです。