認定看護師と同じく専門性の高い知識を持つことを証明する資格として、専門看護師の資格があります。自分にはどちらが向いているのか、認定看護師の資格取得を目指す前に一度考えてみてください。
認定看護師には21項目の分野があり、感染管理をはじめ、認知症看護や緩和ケア、がん化学療法看護、乳がん看護などが設定されています。専門看護師の分野は13項目で、感染症看護、地域看護、家族支援、遺伝看護などがあります。似ている部分もありますが、資格の難易度としては専門看護師のほうが難しいとされています。理由としては、教育機関で6か月以上学ばなければならないとされている認定看護師に比べて、専門看護師は看護系大学の大学院で2年間学び38単位を取得しなければならないためです。
認定看護師も専門看護師も、看護のスペシャリストとして活躍しています。しかし、両者に求められる役割には違いがあります。
認定看護師は特定の分野における多くの知識と技術力を活かして、主に実践・指導・相談の3つの役割を担います。具体的には、高い水準での看護ケアの実践、その実践を通しての後輩指導、他の看護師へのコンサルテーション、といった内容です。患者への看護ケアとともに、働いているあらゆる職種の人たちへの指導や管理を行うイメージです。
一方、専門看護師は患者の看護だけでなくその家族や地域と連携した幅広いケアを行います。主に求められる役割は実践・相談・教育・調整・論理調整・研究の6つです。実践と相談については認定看護師と同じですが、その他が専門看護師ならではの特徴です。現場で行う看護ケアのフィールドを飛び越えて、ケアに関わる人員のコーディネートを行ったり、患者とその家族の倫理的な問題解決に携わったりする部分が専門看護師ならではの役割と言えるでしょう。
上記のとおり認定看護師と専門看護師に求められる役割には違いがありますが、それぞれを端的に表現してみると、認定看護師は現場のスペシャリスト、専門看護師は看護分野全体のスペシャリスト、と表現することもできます。
患者をはじめ、医療機関や介護施設の中で働く職員を守り導いていくのであれば認定看護師、それに加えて患者の家族も含むトータルケアを行ったり、医療機関を飛び出して地域の中で活躍していきたいのであれば専門看護師が希望に合っているかもしれません。
どちらも特定分野の知識や技術を活かして質の高いケアを行うという面では同じですが、方向性が違うと「自分が思っていたものと違う」と違和感を抱いてしまう可能性があります。資格取得を考えるならば、どちらの方向性が希望に合っているのか、まずはよく考えてから動き出すようにしましょう。